次第
- 日時:2018/07/23(金)19:00~21:00
- 場所:WASEDA NEO 5階(東京都中央区日本橋1丁目4−1 コレド日本橋)
- 共催:早稲田大学マニフェスト研究所
- 内容:①杉田先生の授業実践を体験、②授業についての質疑応答・討論
- 模擬授業「投票に参加する意欲を向上させるための有権者教育」
- 授業の狙い:18歳選挙権の実現を背景に、高等学校で学ぶ生徒たちがどのような学習をすれば、投票する意欲が向上するのか、政治学や経済学の視点から学ぶ
■模擬授業「投票意欲を上げる有権者教育」
杉田先生による模擬授業は「投票に行きましょう」と訴えかけるのではなく、「投票になぜいかないか」を考えるきっかけを与えることから始まりました。
杉田先生が強調するのは「インセンティブ」と「希少性」。
「経済学では、人はインセンティブに反応する」
「国家や地方自治体の予算は限られているので、政策にも希少性と選択が現れる」
議論の出発点となる考え方を紹介しながら、授業のヒントも紹介されます。
「投票に行くメリット、デメリットは?」
「どの世代が多く投票している?」
これらの情報が伝えられた後は、一転、配布したワークシートを基に参加者へと問いかけます。
「選挙の定義」:(制度)設計権と権力を持つ議員を選ぶ営み」
=現在と未来の(政策)選択
※ワークシートでは( )が空欄
突然の問いかけに、参加者もドキッとしながら程よい緊張感が生まれます。
そのまま、投票する意味を考えるためのモデルとして、ライカ―=オードシュックの投票行動論のモデルが紹介され、そのモデルを基に参加者間で「なぜ、若者は投票に行かないのか」を考える討議が促されます。
「モデルの内、最も大きい要素は何だろう?」
「例えば、モデルで表されているコストの具体的なものには何があるだろう」
予めワークシートに配置されたヒントを基に、参加者間での議論が行われます。
ディスカッションを通してモデルへの考えを深めた後は、実際の選挙を分析します。
題材として紹介されたのは、習志野市を選挙区に含む2つの選挙(習志野市議会議員選挙、衆議院議員選挙(千葉2区))
モデルを用いて、「投票になぜいかないか」を考え、乗り越えていくために示されたキーワードが「参画感」です。
例えば、ワークシートでは、
・衆議院議員選挙の当選者の得票数と、習志野市議会議員選挙最下位当選者の得票数の倍率を計算してみよう
・衆議院議員選挙と習志野市議会議員選挙の間で、投票への参画案がより強いのはどちらの選挙ですか?
といった問いかけがなされ、より身近な選挙の存在がクローズアップされます。
そして、模擬授業は、参考文献の紹介と日頃の勉強の重要性を教示いただき締めくくりとなりました。
■質疑応答模様
けんみん会議が開催する教員向けWSが目指すのは、参加者の学びだけではなく、模擬授業を実施いただく先生にとっても学ぶところのある場づくりです。
当日も活発な質疑応答がなされました。
・ライカ―=オードシュックのモデルについて、例えば、生徒たちは異なる要素を比較できるのだろうか?要素ごとに異なる単位を使って考えることはないだろうか?
そこでは、なにかヒントを示した方が議論がスムーズになるのでは?
・モデルも具体的な数値を交えながら紹介したほうが生徒たちの理解も深まる/容易になるのではないだろうか?
さらに、1つ1つの要素についても具体な事例について考えることをさらに推し進めてみることも、モデルを使いこなすためには必要になるのではないか?
・モデルを用いて考えていくための前提として、「物事をいっぱんかして考える」習慣が必要となる。急に身につくものではないが、年間でどのように取り組んでいるのか? 等々
講師を務めていただいた杉田先生も、参加した先生方も、よりよい授業とするために真剣な議論が繰り広げられ、この日のワークショップは終了を迎えました。
■今後の予定
けんみん会議では、今後も主権者教育に取り組む先生方の授業を体験し、今後の授業づくりに活かしていくことのできる場づくりに取り組んでいきます。
今後も、隔月での開催を予定していますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
□次回ワークショップのご案内□
◇「第3回主権者教育の教員向けワークショップ」
みなさん、生徒役を体験して、新たな授業づくりに活かしてみませんか?
- 日時:9月21日(金)19時開始~21時まで
- 場所:早稲田大学マニフェスト研究所(日本橋)を予定
〒103-0027 東京都中央区日本橋1-4-1日本橋一丁目
三井ビルディング(コレド日本橋)5階 WASEDA NEO内 - 内容:①山本先生の授業実践を体験、②授業についての質疑応答・討論
- 講師:山本智也先生(筑波大学附属駒場中・高等学校 教諭)
- 授業内容:議論につながる「問い」を活かした政治学習
→主権者教育では、政治のしくみをルールブック的に学ぶことにとどまらず、政治事象を自分の頭で考える習慣をつけることが重要です。そのための「問い」(主発問、討議課題)をつくるポイントは何でしょうか?また、限られた授業時間の中で、「問い」を活かして考え、議論する活動をどのようにデザインできるでしょうか?授業例をたたき台に、議論しながら考えていきたいと思います。 - 参加者:先着20名(大学生・大学院生も可)
- お申込:「こくちーず」の入力フォームから申し込んでください(〆切:9月20日)
- 主催団体:けんみん会議
- 協力団体:早稲田マニフェスト研究所